生物統計学を学ぶ大学院生のブログ

統計的因果推論、生物統計学、R・SASの実装方法について更新

初めてこのブログを見た方へ

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はじめに

詳細なプロフィールはLinked inに掲載しております。

このブログは個人の意見・見解の表明であり、所属組織の意見・見解を代表しません。自身にとっての備忘録であり、今後同じ道を志す方の一助になればという位置付けです。記事の内容の正確性については一切保証いたしませんので、学術的なコンテンツを求めて来訪された方は学術書や論文などを併せてご参照ください。誤りを見つけた場合にはご連絡いただけますと幸いです。また、記事中で取り上げられているデータは明記されていない限りはいかなる実在する企業・組織・機関のいかなる個別の事例とも無関係です。ブログ記事内容は予告なく公開後に改変されることがあります。以上の点をご理解の上お読み下さい。

 

色々

生物統計学の道標:第2回 量的研究におけるリサーチクエスチョンの立て方

 『生物統計学の道標 研究デザインから論文報告までをより深く理解するための24講』の「第2回 量的研究におけるリサーチクエスチョンの立て方」について補足していきます。本記事はあくまで上記の書籍の”補足”という立ち位置ですので、その旨ご承知おき下さい。まとめ記事についてはこちらから。

norihirosuzuki.hatenablog.com

 

  • 様々な疑問とその種類
  • クリニカルクエスチョンとリサーチクエスチョンの違い、よりよいリサーチクエスチョンの条件
  • 疑問を要素に分解して定式化する(PICO/PECO)

 

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『Causal Inference: What If』補足シリーズ

 Miguel A. Hernán, James M. Robinsらの著書である『Causal Inference: What If』について補足を行っていきます。以前に公開していた翻訳等の記事のまとめです。随時更新します。

 本書のPDF版は以下の著者HPよりダウンロードが可能です。初版は2020年に公開され、メジャーアップデートが2023年に行われましたが、以降もマイナーアップデートが繰り返し行われています。版によって一部記載が異なりますので、その旨ご承知おきください。

www.hsph.harvard.edu

 Paper book版についてはCRC Pressより2024年1月に出版予定です。ただ既に当初の出版予定日よりも半年以上ずれ込んでおり、今後もずれることが予想されます。なお、日本語版については2年後を目安に翻訳プロジェクトが進行中とのことです。

www.routledge.com

 

  • Introduction
  • Part I: Causal inference without models
    • Ch.1: A definition of causal effect
    • Ch.2: Randomized experiments
    • Ch.3: Observational studies
    • Ch.4: Effect modification
    • Ch.5: Interaction
    • Ch.6 Graphical representation of causal effects
    • Ch.8: Selection bias
    • Ch.9: Measurement bias
    • Ch.10: Random variability
  • Part II: Causal inference without models
    • Ch.11: Why model?
    • Ch.12: IP weighting and marginal structural models
    • Ch.13: Standardization and the parametric g-formula
    • Ch.14: G-estimation of structural nested models
    • Ch.15: Outcome regression and propensity scores
    • Ch.16: Instrumental variable estimation
    • Ch.17: Causal survival analysis
    • Ch.18: Variable selection for causal inference
  • Part III: Causal inference from complex longitudinal data
    • Ch.19: Time-varying treatments
    • Ch.20: Treatment-confounder feedback
    • Ch.21: G-methods for time-varying treatments
    • Ch.22: Target trial emulation
    • Ch.23: Causal mediation
    •  
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『生物統計学の道標』 補足シリーズ

 坂巻 顕太郎先生と篠崎 智大先生が監修・執筆の『生物統計学の道標 研究デザインから論文報告までをより深く理解するための24講』について補足内容をまとめます。正誤情報については、こちらのリンクからご確認ください。サイトに掲載されている箇所以外に誤記等を発見された方は、問い合わせフォームより厚生労働統計協会宛にご連絡いただければ幸いです。

www.hws-kyokai.or.jp

 

  • 第1回 医学系研究における生物統計学の役割(坂巻 顕太郎)
    • 正誤情報
    • はじめに
    • 介入効果を評価する研究に関するエビデンスと研究報告
    • 介入効果を評価する研究の論文化におけるデータや解析結果の提示
    • 介入効果に関する解析結果
    • データをより深く理解するための検討
  • 第2回 量的研究におけるリサーチクエスチョンの立て方(米倉 佑貴)
  • 第3回 リサーチクエスチョンに対応する臨床研究デザインの型(上村 タ香理)
  • 第4回 分析研究で用いる代表的な臨床研究デザインとその特徴(上村 タ香理)
  • 第5回 データの分布と1変数の要約(川原 拓也, 坂巻 顕太郎)
  • 第6回 2つの変数の関係と要約(川原 拓也, 坂巻 顕太郎)
  • 第7回 推測の基礎(上村 鋼平)
  • 第8回 検定とp値(坂巻 顕太郎)
  • 第9回 臨床研究で注意をしたい代表的なバイアス(上村 タ香理)
  • 第10回 交絡バイアスに対処するための方法(上村 タ香理)
  • 第11回 回帰モデル(篠崎 智大)
  • 第12回 イベント発症リスクに対する回帰モデル(篠崎 智大)
  • 第13回 発症や治癒までの期間を考慮する(上村 鋼平)
  • 第14回 回帰モデリング(篠崎 智大)
  • 第15回 無計画な解析における問題(坂巻 顕太郎)
  • 第16回 データ数に関する議論(上村 鋼平)
  • 第17回 統計解析ソフトRによる図表の作成と統計解析(川原 拓也, 坂巻 顕太郎)
  • 第18回 文献検討の進め方(米倉 佑貴)
  • 第19回 既存データの利用(米倉 佑貴)
  • 第20回 メタアナリシスの紹介(大庭 幸治)
  • 第21回 報告ガイドラインの紹介(大野 幸子, 坂巻 顕太郎)
  • 第22回 記述疫学(村上 義孝)
  • 第23回 質問紙の作り方(米倉 佑貴)
  • 第24回 スクリーニング検査の評価(坂巻 顕太郎)

 

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Causal Inference: What If, Chapter1 ②

 Miguel A. Hernán, James M. Robinsらの著書であるCausal Inference: What IfのChapter1: A definition of causal effectについてまとめていきます。個人的な学習やゼミの関係で作成したスライドも下部に載せています。誤記等ある場合にはご指摘いただけますと幸いです。この章では反事実アウトカムという概念とそれを用いた因果効果の定義、データから因果効果を識別するための条件について紹介が行われます。前回の内容はこちら。

norihirosuzuki.hatenablog.com

 

  • Measures of causal effect
    • 因果効果を表す指標
    • Fine Point 1.3: Number of needed to treat
  • Random variability
    • 1st source of random error: Sampling variability
    • 2nd source of random error: Nondeterministic counterfactuals
    • Technical Point 1.2: Nondeterministic counterfactuals

 

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SASでの因果推論系記事まとめ

在籍中のSAS institute Japanでの統計的因果推論に関するコラムへの移動用です。随時更新します。

  • 統計的因果推論コラムの概要
    • 潜在アウトカムと因果関係の定義について
    • 識別可能条件 (identifiability assumptions) について
    • 操作変数法:操作変数法の概要
    • 操作変数法:操作変数法における第4の条件(homogeneity / monotonicity)
  • Time-varying treatmentsの紹介 / 周辺構造モデルとIPTW法について
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分布ベースでROC曲線を書く方法【R】

RのpROCパッケージを利用して分布ベースで様々なROC曲線を書く方法について、感度・特異度(および、そのペアに一致するカットオフ)を出力する方法についてまとめます。二群(今回はCase群とNon-case群)のデータの生成設定によって様々なROC曲線が作成可能です。

  • ROC曲線について
  • pROCパッケージについて
    • ROC曲線の作成方法
    • 参考
  • データの生成・ROC曲線のプロットについて
    • 必要なライブラリの読み込み
    • Case / Non-caseデータの生成
    • ROC曲線の作成、AUCの計算
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イェンセンの不等式を用いた相加、相乗、調和平均の不等式の証明

相加平均≧相乗平均≧調和平均となること、すなわち

 \displaystyle \sum_{i=1}^{n}x_{i} \geq \Bigl(\prod_{i=1}^{n}x_{i}\Bigr)^{1/n} \geq \dfrac{n}{\sum_{i=1}^{n}\dfrac {1}{x_{i}}}

となることを、イェンセンの不等式を用いて証明します。

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