医療統計学を学ぶ大学生のブログ

医療統計学、因果推論を専攻しています。R, SASユーザーです。

YBS勉強会:『宇宙怪人しまりす』5,6月まとめ

 

 1,2年生を中心としたメンバーでの「宇宙怪人しまりす」の輪読の5, 6月(通常の2, 3章)まとめです。期末試験がある影響で夏季休業に入るまでは少しこの勉強会はお休みです。前回の記事はこちらからどうぞ

norihirosuzuki.hatenablog.com

 

 

 

5月 ほんとだ、偶然ですね

この章では、ある交絡の例が紹介されています。

 

内容まとめ

全国の人口10万対死亡率(1995年) 

→死亡率の低い所は、東京、埼玉、千葉、神奈川、宮城、愛知、大阪と大都市ばっかり
→死亡率の高い所は、秋田、和歌山、鳥取、島根、山口、徳島、高知、鹿児島と地方ばっかり

 

 つまり、「大都市で病院とか医療機関へのアクセスが良くて、十分な医療を受けられるところは死亡率が低く、地方の医療機関へのアクセスが良くないところでは死亡率が高い」ということに???

 もしそうだとしたら、地方では医療機関へのアクセスをもっとよくすれば死亡率が改善するということになり、救えるはずの命を見殺しにしてるという意味でも倫理的に問題になるはず。

 

散布図を作成してみると死亡率は、老年人口が増えるにしたがって直線的に増加していることが分かる。このことから以下の2つのことが考えられる。
① 大都市とその近郊は医療機関へのアクセスが良くて、地方ではアクセスが悪いから死亡率に差がでるのではという「アクセス原因説」
② 大都市には働き手である若い人が多く集まり、地方は過疎が進んでお年寄りが多いからという「年齢原因説」


もし原因が年齢原因説だった場合、都道府県の年齢構成がみんな等しかったとしたら、死亡率は同じぐらいになるはず!


年齢を調整したら死亡率は同じぐらいになったため、都道府県での死亡率の違いはそこに住む年齢構成の違いによるものである(年齢原因説)

なお兵庫が高いのは阪神淡路大震災があったためである。

 

6月 飲んだらなおったんだから

 この章では因果推論のきっかけともなる、潜在的アウトカムの概念が初心者向けに簡単に説明がされています。

 

内容まとめ

ある日のしまりす君の行動(ヨクナールというドリンク)

  • 6月1日

 風邪を引いたがヨクナールを飲み、ゼミの飲み会に。

  • 6月2日

 まだ風邪は治らないのでヨクナールを飲み、徹夜でレポート。

  • 6月8日

 風邪が治った

 

風邪が治ったのは、果たしてヨクナールを飲んだおかげなのか?

→仮に6月1日にヨクナールを飲まず、8日に風邪が治った場合これはヨクナールのおかげではない(基本的な免疫)。もし1日に飲まず、8日に風邪が治らなかった場合、これはヨクナールを飲んだおかげで風邪が治った(因果効果あり)

→でもタイムマシンがないかぎり、飲まなかった場合の結果はわからない。(反事実)

→最初の考えは「3た論法」とも呼ばれる。(使った、治った、だから効いた)

 

では現実にはどのようにこういったことを考えるのか?その対応の一つが「ランダム化」。つまり、研究対象となる集団に対して、治療の割り当て(ヨクナールを飲むか飲まないか)を無作為に割り当てる。そして、飲んだ群と飲まなかった群を比較して、その状態の変化を考察する。

→詳細については今後また別な機会に